株式会社手塚工務店
鈴木 俊匡氏

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彼らは大切な会社の戦力
絶対に無下にはしない

2024.02.01

#VOL.04 #受入事例 インドネシア東京都

取締役工事部統括部長
鈴木 俊匡

鈴木さんはインドネシアから来た特定技能外国人、技能実習生の生活面のサポートを担当しています。立場上、外国人たちからの要望を直接受けることも多く、さまざまな課題に直面してきたそうです。そんな鈴木さんに詳しくお話を伺いました。

腕のよい職人に育ててもらい全体的な技能レベルの底上げをする

特定技能外国人の仕事ぶりはいかがですか?

 当社は現在、技能実習生より特定技能外国人のほうが多く在籍しています。技能実習生がメインだった時と違い、特定技能外国人は経験も長いので、図面も読めるしどんな作業もできてしまいます。貴重な戦力ですね。

育成のなかで気をつけていることは?

 当然ですが、人によって技能に差はついてしまいます。技能レベルの高い人は親方たちから「自分の現場に入れてほしい」と人気が出る。対して、技能レベルが低い人は声がかからず、成長速度が遅くなってしまう。そこで、私から腕のよい親方に「面倒を見てほしい」とお願いをし、育ててもらうことで、全体的な技能レベルの底上げをしています。

「努力は評価される」それをしっかりと理解させる

やる気を高めるために工夫していることは?

 技能実習生の来日目的はあくまで技能習得ですが、特定技能は努力次第でいくらでも稼ぐことが可能になります。がんばったらがんばった分だけ、会社は評価をしてくれること、そして反対に、がんばらなければ現状維持だということをしっかりと伝え、やる気を促しています。

職場でのトラブルなどはありますか?

 職人のなかにはどうしても叱り方がきつかったり、教え方が荒かったりする人もいます。そうすると、外国人から「あの現場に行きたくない」という要望が出ることがあります。そうした時は、私が間に入って外国人の気持ちを職人へ伝えるようにしています。職人も人手が足りないと困ることはわかっているので、理解してくれますね。

要望は一旦受け止め会社として答えを出すことが大事

外国人からの要望はどんなものがありますか?

 仕事道具はすべて支給しているのですが、以前に、安全靴を有名メーカーのものにしてほしいという声がありました。とはいえ、やはりそうした靴は高いんです。ただ、そこで安易に要望を却下せず、今まで通り比較的安価な安全靴を履き潰したタイミングで支給するか、有名メーカーに変えるかわりに年一回だけの支給にするかを彼らに選ばせました。そうすると物を大事にするようになるんです。

要望を一旦受け止めて、条件をつけている、と

 以前はスケール一つとっても壊れたら支給していました。ですが、月にいくらか金額を決めて、そのなかで物を管理するようにルールを変えたところ、途端に自分の道具に愛着をもって使うようになりました。

コミュニケーションの取り方に工夫が感じられます

 私はどんな仕事も人と人で成り立っていると思っています。外国人たちに対しても、まずは聞いてあげることが大事で、いかに意見を言いやすい環境を作るかが課題です。どんな要望にも必ず会社としての答えを用意して返してあげないと、意見すら出てこなくなる。彼らは大切な会社の戦力なんです。だから絶対に無下にはしないですね。

(2023年9月19日取材)

掲載号

Visionista/VOL.042024|winter

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