仕事を楽しむには自信と誇りが必要
将来に希望をもって働いてほしい
代表取締役社⻑
矢島 孝夫 氏
長年、特定技能外国人や技能実習生たちと接してきた矢島さん。人材不足に悩める建設業界にとって、受入れは課題を解決する効果的な手法だと考えています。詳しくお話を伺いました。
人間性、考え方の違いを理解し互いを尊重したコミュニケーションを
受入れのメリットを教えてください
我々の仕事は肉体労働なので、どうしても体力のある20代から40代がメインとなって活躍する仕事になります。50代、60代は技術力があるものの、体力勝負になると若者には負けてしまいます。そうした意味では、若く体力のある外国人は魅力的です。
彼らと仕事をするうえで心がけていることは?
仕事は楽しいほうがいい。それは日本人も外国人も同じはずです。もちろん仕事を教える時は厳しくなりますが、それでも厳しすぎたら嫌になるのが人間というもの。だから、お互いに尊重し合い、コミュニケーションをよく取り合いながら仕事を進めることが大切です。
特に気をつけていることはありますか?
国によって人間性、考え方は違います。国民性として自己主張が強い人や、プライドが高い人もいる。そうした事情を把握した上で関係性を構築することは非常に重要です。上から「何やってんだ!」なんて怒鳴るなんてありえない。ただ、日本人も真剣に教えるなかでつい声を荒げてしまった、なんてこともあります。そうした場面ではその後のケアが大切ですね。
1級技能士など資格を取得させ将来的なキャリアアップを明確にする
育成面ではどんな工夫をしていますか?
彼らは日本に来て、慣れない仕事、慣れない生活で不安の連続からスタートします。なので、まずは仕事に自信を持たせることが必要です。そのためには資格を取らせることはとても有効と言えます。そして、「自分はこれだけのことを覚えたからこそ評価されている」と、仕事に誇りをもてるようになれば、もっと毎日を楽しんでもらえると思っています。
どんな資格を取得させているのでしょうか?
1級技能士を目指してもらっていて、当社ではすでに取得した外国人が4名います。大切なのは、彼らに将来的な夢をもってもらうことで、資格取得後のキャリアアップについても明確にしています。当社で働くことによって自分の未来が明るくなっていくと、希望をもってもらうことが何より重要だと考えています。
海を渡り懸命にがんばる外国人を徐々に増やして、盤石な体制を築く
建設企業の受入れは増えていくと思いますか?
もちろんです。例えば、東京では働く場所がたくさんあって、コンビニや居酒屋でアルバイトするにしても、2つほど掛け持ちをすれば30万円以上を稼げてしまう。そんな地域なので、日本の若い人たちは建設業に入職しても、少しつらいとすぐに辞めてしまいます。一方で、外国人は海を渡り、必死で稼ぎにきている。そんな彼らを雇いたいと思うのは自然なことでしょう。
今後の展開についてはいかがでしょうか?
当社では日本人の職人が徐々に高齢化しており、これから退職者が増えていくことは間違いありません。とはいえ、日本人の入職者もそこまでは期待できないのが実情です。そこで、日本人が退職すれば、その分、技能実習生や特定技能外国人を受け入れて外国人の人数を増やしていく予定です。この先5年で30人の外国人を受け入れる計画で、盤石な体制を築きたいと思います。
(2023年5月30日取材)