株式会社吉美建設
大塚 則重 氏

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時代の変化に対応していくためにも
育成への投資は惜しまない

2026.01.30

#VOL.08 #受入事例 ベトナム千葉県PICK UP

取締役管理部長
大塚 則重

大塚さんは、外国人材が現場で戸惑わず働けるよう、基礎研修や日本語学習、資格取得の支援まで幅広く担っています。建設業の基礎をまとめた独自資料の作成や勉強会の実施など、学べる環境を一から整え、外国人材が着実に成長していける仕組みづくりを進めています。

基礎固めが一番重要な課題だった

受入れ時の教育はどのように始められたのでしょうか?

 最初に取り組んだのは、建設業や現場の基本を理解してもらうための資料づくりでした。来日したばかりのベトナム人たちに、すぐに日本での仕事の流れを理解しろと言っても無理があります。そこで「建設業とは?」「現場の1日の動きとは?」という基礎の基礎から、すべて手作りしました。

具体的にはどのような内容だったのでしょうか?

 朝のラジオ体操やKY(危険予知)、現場入りの手順、休憩の取り方、道具の名称や扱い方まで、かなり詳しく明記したマニュアルを用意しました。同時に、最初の1~2週間は資材置き場で道具の名前を覚える時間にあてました。いざ現場に出た時の理解度が大きく変わるため、基礎を固めることが何より重要だと考えていたからです。とはいえ、それでも1期生など、受入れ当初のメンバーはやはり苦労していました。

勤務態度や勤勉さを重視したい

日本語の勉強会も開催しているそうですね

 はい。今は2週間に1回、日曜日の午前中に日本語の勉強会を開催しています。社長の方針である、「日本語ができることは安全にもキャリアにも直結する」という考えが浸透しています。全員の目標は日本語能力試験N3以上。N5からスタートする人もいますが、N3、N2、N1まで取れるよう支援しています。今はN3が8名ほどで、N2が2名、N1が1名。合格すれば手当もつきますので、本人たちも前向きに参加しています。

キャリアアップの評価はどのようにしているのですか?

 以前は、日本語能力や勤務態度、施工技術などを細かく点数化し、ランク分けする評価制度を活用していました。しかし社長の意向もあり、今は「数字より、日々まじめに取り組む姿勢を見る」方針に切り替えました。制度で縛るのではなく、勤務態度や勤勉さを重視して成長を支えるようにしています。

評価制度を使っていた時と比べて、変化はありましたか?

 細かく技能レベルを点数化していた時と、姿勢や態度を重視するようになってからとで、特に困るような変化はありませんでした。結局のところ、制度があってもなくても、上を目指す人は自ら学んでスキルを伸ばしますし、「特定技能で数年働ければ十分」という人もいます。向学心や仕事への姿勢の違いが、そのまま成長の差として表れていると感じています。

未来につながる学びを途切れさせない

今後の育成で大切にしたいことは?

 最終的には、日本人と外国人とでレベルの高い“技能者集団”をつくりたいと考えています。そのためにも今、特定技能2号を目指すメンバーのために、月2回、大工の職長による1級型枠施工技能士の実技勉強会を開催しています。試験課題を一緒に練習しながら、スキルはもちろん、リーダーシップのある人材を育てていく。将来、現場をまとめる存在になれるように背中を押していきたいですね。

人材の先細りが懸念されるなかで、育成の役割は大きいですね

 型枠工事の現場は高齢化や人材不足が進み、これまで通りのやり方で仕事を続けるのは難しいところまで来ています。従来とは違う工法も必要になってくるでしょう。だからこそ、そうした時代の変化に対応していくためにも、育成への投資は惜しみたくありません。勉強会も資料づくりも、一つひとつは地味ですが、未来の現場を支える力になると信じています。

(2025年8月27日取材)

掲載号

Visionista/VOL.082026|winter

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