“日本の家族”として
彼らがくじけそうな時には支えたい
代表取締役
浅見 亨 氏
1期生にベトナム人を迎え、その後は多国籍からの受入れを長年続けている浅見社長。生活のサポートに始まり、時に厳しく、時にあたたかく接しながら、“日本での家族”として彼らを迎え入れてきました。現場では一人ひとりの可能性を広げる関わりを大切にし、将来につながる力を育てたいと語ります。
すべてゼロからのスタート社員みんなで支え続けた
受入れ時に大変だったことは?
1期生が来た時は、本当に何もかもゼロからでした。彼らも日本での生活が初めてなので、何をどうしていいかわからない状態です。そこで、駅での改札の通り方、ラーメンの食券の買い方、マクドナルドの頼み方まで、全部一緒に行って教えました。買い物も付き添って、まさに手取り足取り。社員みんなで支えてきました。
日常的な交流もありますか?
はい。今では毎月フットサルをやっています。練習場を借りて練習して、先日は東京・池袋で開催された大会にも出場しました。結果はボロ負けでしたけど(笑)、みんな楽しそうだったのが印象的でした。ユニフォームも作ってあって、密かに“実業団”みたいな形にしたいと考えています。
言葉の壁は、乗り越えるためにある
日本語習得のサポートはしていますか?
現場では言葉が通じないこともあります。10年前は、そうした理由から取引先に毛嫌いされることもありました。でも、だからといって止まっていたら始まりません。日本人側ももっと彼らを理解する努力が必要ですし、手助けをすることは当然です。これを当社の課題としてとらえて「じゃあ、もっと勉強しよう」と声かけをして、始めたのが社内での日本語勉強会です。
日本語勉強会の反応は?
社内の日本人が講師を担当してスタートしたのですが、途中で「もう勉強したくない」と言い出すベトナム人もいて、「日本で働くためには必要なことなんだよ」と注意したこともあります。でも、言葉を覚えなければ生活に困るのは彼ら自身。だからこそ、勉強会ではあえて厳しく接することもありました。
厳しくする背景には、どんな思いが?
私は採用面接の翌日に、彼らの家族と面会していて、通訳を交えて、「これから私たちが日本の家族になります」と伝えています。父親、母親、兄弟のような存在になって支えていく、と私なりの覚悟もお話しさせていただきました。だからこそ、日本での生活に困らないよう、会社がしっかりと面倒を見る必要があると考えています。
家族に声をかけるように、社員一人ひとりに寄り添う
現在目指していることは?
「株式上場」を大きな目標に掲げています。知名度を上げることで仕事の幅が広がり、社員やその家族も安心できる未来が描けるからです。だからこそ、会社として社員にできることは全部やる。家族に声をかけるように、社員一人ひとりに寄り添い、同じ景色を一緒に見に行きたいと考えています。
あらためて、受入れに対する思いを聞かせてください
外国人をただの「人手」として扱う会社を見ると、胸が痛みます。本来は、建設業を支えてくれる大切な仲間。日本人だけでは現場が回らない今、助けてもらわなければ成り立ちません。最近はネットを通じた悪い誘いも増えていて、トラブルに巻き込まれるリスクが高まっています。だからこそ、言葉や生活面も含めて支える覚悟が必要です。手間や時間をかけて築く関係にこそ達成感があり、国境を越えた仲間と働く醍醐味があると感じています。
(2025年6月4日取材)
