山﨑建設株式会社
大櫃 潤司氏

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「気遣い」までできるからこそ、
彼らはみんなから愛されるんです

2023.07.01

#VOL.03 #受入事例 フィリピンミャンマー東京都
山﨑建設株式会社 大櫃 潤司 氏

作業所長
大櫃 潤司

大櫃さんは受入れを始めた当初から、フィリピン人に仕事を教える役割を担当していました。長くその働きぶりを見てきた大櫃さんに、これまで現場で接してきて感じたことや、彼らへの思いをお話しいただきました。

仕事はできる、しかし、質が“海外基準”だった

会社から受入れを始めると聞いて、どんな心境でしたか?

 受入れが決まった以上、現場としては環境を整備しないといけないのですが、そもそも何をどうすればいいのか、まったくわからない状況でした。日本語をどれだけ話せるかもわからない、普段の生活様式もわからない。とにかく情報不足で、不安ではありました。

仕事はどのように教えていたのですか?

 初めて来日した一期生は、当社が海外で高速道路を作るプロジェクトに参画した時、一緒に働いた人たちだったので、技術があるのはわかっていました。ですから、やってほしいことを伝える時は、一度重機に乗ってみせて「チェンジ(運転を代わって)」と言えば、大体のことはできていました。

指示はそれほど難しくなかったのですね

 そうですね。ただ、指示通りにはできても、仕事の緻密さが少し日本とは違いました。例えば、盛土作業にしても、日本では丁張という目安に対してプラスマイナス数センチで仕上げるのが普通ですが、彼らは少し大雑把で、いわゆる“海外基準”。そうした部分は、私たち日本人がしっかりと管理して、指摘し、調整する必要はありました。

自分の仕事ではなくても、積極的に手を貸してくれる

現場での他社からの評判はいかがでしょうか?

 彼らの特徴の一つとして「気遣いができる」というものがあります。バックホウでの吊上げ作業の時は、下ろす作業まで重機を降りて一緒に手伝ってあげるなど、自分の仕事ではないことでも積極的に手を貸してくれます。そうしたことは彼らにとっては普通で、これは他の業者の方々から喜ばれますね。

彼らに望むことはありますか?

 高望みをすれば、日本語をもう少し理解できるようになってほしいですね。ただ、私たちからみても日本語は難しいと思います。漢字、ひらがな、カタカナもあれば、方言もあります。それに、どうしても同じ国の人同士が集まれば母国語で話すので、それが日本語の上達を妨げているのでしょう。でも、仕事面では今のレベルでも困ることはありません。

遅刻や欠勤をしたことなど一度もない

彼らの優れていると思うところは?

 とにかく真面目で、仕事熱心なところです。特に、遅刻は絶対にしません。時間と集合場所を伝えれば、必ず指定した場所で時間通りに待っています。ましてや、無断欠勤をしたことなど一度もありません。そこは私も見習いたいです(笑)。

すばらしいですね

 当社で働くサグンは、残念ながら新型コロナで家族を亡くしました。その時に会社の仲間で香典をわたしたんです。すると、日本で長く生活している同じフィリピン人に日本のしきたりを聞いて、お礼の手紙を書いてきてくれました。そういう律儀な人柄なんです。だから、大事な仲間としてみんなから愛されるのでしょう。

山﨑建設株式会社

(2023年2月21日取材)

掲載号

Visionista/VOL.032023|summer

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