株式会社ハヤブサコーポレーション 株式会社隼ビルド
岡本 啓志氏

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彼らはロボットではない、
伸び伸びと育ててあげてほしい

2023.02.01

#VOL.02 #受入事例 ベトナム岡山県
株式会社ハヤブサコーポレーション 株式会社隼ビルド 岡本 啓志 氏

統括責任者
岡本 啓志

2004年から受入れをスタートし、これまで多くのベトナム人を指導してきた岡本さん。受入れ当初の様子から、育成や採用についてなど、幅広くお話を伺いました。

「日本のお父さん」として、無事に帰国させる義務がある

受入れ当初、不安はありましたか?

 一番気にしていたのが寮生活での人間関係でした。男同士だと、どうしても上下関係が生まれてしまうことがあります。万が一、いじめなどが起きやしないか心配で、事あるごとに寮へ顔を出していました。私も受け入れた以上、「日本のお父さん」のつもりで彼らと接しています。仕事でも生活でもトラブルなく、五体満足に帰国させるのが私の責任だと思っています。

育成については順調だったのでしょうか?

 最初に受け入れたのは中国人で、とても努力家だったこともあって問題なく順調でした。ただ、今振り返ると、1期生に関しては育成に何かと力を入れ過ぎていたと思います。仕事はもちろん、日本語も教えないといけない、日本の文化や習慣も伝えないといけないと、あれやこれやと口を出し過ぎていた。もう少し柔軟に伸び伸びと育ててあげればよかったと反省しています。

得手不得手を見極め、個性を活かせるポジションへ

これまでの育成経験の中で気づきはありましたか?

 受入れを続けてきたからこそわかったことは、ある程度は自由にさせることも必要だということです。仕事ではこちらが口出ししなくても自分で考えて作業をしていますし、物事の良し悪しもきちんと判断がついている。つい外国人という大きな括りで見てしまいがちですが、彼らはロボットではない。それぞれ個性があって、最初からできる人もいれば、そうではない人もいます。得手不得手を見極めて、自分を活かせるポジションで働かせてあげることが大事だと考えています。

ひとりひとりが活躍できる場所をつくってあげることが大事ですね

 それは日本人の若い職人でも同じです。彼らが望んでいることを汲み取ってあげれば、がんばってくれますから。今から17年前に受け入れた1期生の中国人は、いまだに正月になると電話をくれます。「元気にしていますか?」と、時間が経ってほとんど忘れてしまった日本語で一所懸命に話してくれて、本当にかわいくて仕方がありません。そうした関係性を作れるかどうかは、こちらの姿勢一つではないでしょうか。

リアルな生活を見て、国民性や慣習などを感じ取ってほしい

受入れを検討している他社にメッセージをお願いします

 最初から過度に期待しないことが大事かもしれません。初めは仕事ができないのは当然ですし、日本語も話せません。それでも即戦力として扱おうとするから、できないことに腹が立ってしまう。ただ、個人差はあるので、そうした意味では面接で、より一層やる気を持っている人を見極めることは大切でしょう。

採用についてアドバイスするなら、どんなことが挙げられますか?

 例えばベトナム人を本当に理解するには、彼らの故郷のインフラはどうなっているのか、どんな食事をして、どんな服装をしているか。そうしたリアルな生活を自分の目で見て、国民性や慣習などを感じ取ることから始めてほしいですね。できれば、受け入れる人の実家にも訪問してほしい。そこまですれば、きっと彼らと良好な付き合いができると思います。

株式会社ハヤブサコーポレーション 株式会社隼ビルド

(2022年7月23日取材)

掲載号

Visionista/VOL.022022|winter

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