株式会社兼藤
伊藤 一敏氏

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文化や習慣の違いはお互い様、
だから理解し合うことが必要なのです

2023.02.01

#VOL.02 #受入事例 ミャンマー東京都
株式会社兼藤 伊藤 一敏 氏

リニューアル三部 係長
伊藤 一敏

受入れを開始した当初、外国人に対する知識がまったくない状態から育成を担当したという伊藤さん。これまでどんなことに苦労して、それを乗り越えるためにどのような工夫をしたのか。詳しく伺いました。

何から始めて良いかわからず、手探りでのスタート

受入れを始める前にどんな準備をしましたか?

 社長の知り合いに外国人を受け入れている企業があったので、当社にお招きして指導方法などを教わりました。特に、現場に出る前に基礎的な作業を教える実習場の確保が急務だったので、その作り方でも貴重なアドバイスをいただきました。

実習場では具体的にどのようなことを教えているのですか?

 受入れ後に30日ほどの研修期間を設けていて、実習場でパテの塗り方やクロスの貼り方といった実践的な作業を指導しています。また、カッターやハケ、腰袋、スポンジ、ノリなど作業で使う道具一式を表にしたものを手渡し、一つひとつの名称を覚えてもらってもいます。

時間を守ることの大切さを教えるのは大変だった

作業を指導する中で大変だったことはなんですか?

 外国人は時間にルーズなので、そこはかなりしっかり注意しました。例えば実習場に8時集合なら、10分前には着いて掃除をし、身なりを整え、8時ちょうどに作業をスタートできるように準備しておく。仕事をする上で遅刻は厳禁です。遅れることなく、時間通りに指定された場にいなければ信用は得られません。そのような習慣を理解してもらうのは大変でした。

現場での安全対策はどうしていましたか?

 現場には入ってはいけない区画があるので、とにかくそこには入らせないようにしてほしいと、職長にお願いしていました。とはいえ、日本語で「そこに入っちゃダメ」と言われても、意味が通じません。そこで、「職長に言われた動線以外は通らないこと」をルールにして、本人たちに強く伝えていました。

「何かあった?」と声をかけ続けることが何よりも大切

生活面で注意していたことは?

 最初は寮を汚していました。そもそも私たち日本人とは感覚が違うみたいで、私にとってはちらかっていても、彼らからすればそれが普通なんです。だから、「きれい」の基準を知ってもらうためにも、実習場での掃除はとても大切な工程の一つでした。現在もですが、仕事を通して片付ける習慣を身につけてもらっています。

やはり日本と海外では文化や習慣に違いがある?

 特にミャンマーは宗教の種類が多いんです。イスラム教だったり、ヒンドゥー教だったりと、それぞれ宗派が違います。また、人種も中国系やインド系とさまざま。それによって考え方や食べられるものも違います。

理解してあげることが大切ですね

 その通りです。まだ日本の文化や習慣が理解できていないうちに、一方的に叱られたら腹が立つこともあるでしょう。彼らも私たちに言いたいことがあるはずです。だからこそ、日々の生活の中で「何かあった?」「嫌なことはある?」と、声をかけ続けることが何よりも大切だと思っています。

株式会社兼藤

(2022年10月24日取材)

掲載号

Visionista/VOL.022022|winter

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