彼らの気持ちがわかるからこそ、
できるだけ一緒に考えてあげたい
管理部安全課 課長
小林 有希子 氏
小林さんは社内のベトナム人の世話役として、まるで母親のように彼らをサポートし、毎日のようにコミュニケーションを取っています。今回は、外国人と接する際の工夫や、日々の交流について伺いました。
入社後、日常で使う話し言葉を再教育する
ベトナム人とコミュニケーションを取ることは大変ですか?
実家が農家で技能実習生を受け入れていたので、幼い頃からさまざまな国の人と接する機会が多くありました。その影響からか、当社のベトナム人が話すつたない日本語も、私にはなんとなくわかるんです。そうした意味では、特に大変だとは思いません。
言葉を教える中で気をつけていることはありますか?
日本語を勉強してから来日する外国人は、標準語を覚えてくることがほとんどです。でも、茨城県にある私たちの会社では茨城弁を話すので、そのままだと通じません。そこで、入社してからは方言も覚えてもらっています。
標準語ではなく、日常で使っている会話を教えているのですね
例えば、本当に危ない時に「危ないですよ」とは言わないでしょう。「危ねえ!」など、強い口調になってしまうと思うので、そうした物言いも普段から教えています。
SNSを活用してコミュニケーションを活発化
コミュニケーションの取り方で工夫していることは?
来日したばかりだと日本語で話すことが難しいので、FacebookメッセンジャーなどのSNSを使ってベトナム語で送ってもらい、私がネットで翻訳して「こういうこと?」とベトナム語で返す、というやりとりをしています。そうすると、会話では伝えられなかったこともたくさん送ってくれるんです。
やはり母国語だと質問しやすいのでしょうか?
間違いなくそうだと思います。わからないものを撮影して送ってくることもあって、例えば「これは何の食べ物ですか?」と、食材について質問してくる人もいます。おそらく買い物途中に見慣れない食材を見つけたんだと思います。
まるで「日本のお母さん」ですね
ほかにも恋人に化粧品をプレゼントしたいけど、化粧水と乳液の使い方がわからないとか、パックとコットンの使い方がわからないといった相談がきたこともあります。だから、私の持ち物を使って、動画で「まずこれを一番にやります」と、使い方を教えたりもして。喜んでくれるので、そんなやりとりも楽しんでいます。
モラルや小さな気遣いを教えるのが一番難しい
仕事面での相談がくることはありますか?
私は専門的な知識がないので仕事のアドバイスはできませんが、言葉についての相談なら受けています。特に多いのが「今日、現場で日本人に言われた言葉がわからない」というもの。ひとまず理解できなかったらメモしてSNSで送るように伝えています。
教える中で特に難しいと感じるものはありますか?
モラルについては難しいと思う時が多々あります。例えば現場に向かう車中、寝ても良いか、悪いか。この問題に対して何が正解かは、正直難しいところです。そこで、疲れて寝そうなら、運転している日本人に「すみません、少し寝てもいいですか?」と、必ず声掛けするように私は指導しています。そうした小さな気遣いなどは、できるだけ一緒に考えてあげています。
(2022年9月29日取材)