武田建設株式会社
武田 京子氏

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個性や文化を尊重し、
人間同士の付き合いを大事にしたい

2022.09.01

#VOL.01 #受入事例 ベトナム香川県
武田建設株式会社 武田 京子 氏

取締役
武田 京子

武田建設株式会社で働くベトナム人の生活をサポートしている武田京子さん。時に上司として、時に寮母として社員と接している武田さんに、彼らの生活面についての疑問に答えていただきました。

身近な環境で暮らすことでトラブルのリスクを回避

特定技能外国人の住まいについて教えてください

 当社ではもともと日本人社員向けに、会長と私の自宅の2階部分を改築したり、その隣の敷地に6階建ての独身寮を建てたりと、住み込みで働ける環境を用意していました。また、自社工場で働く社員にも郊外に社宅を用意していて、そうした施設を技能実習生や特定技能外国人たちに使ってもらっています。

自宅にも受け入れているのですね

 彼らは生活習慣や文化がまったく違う環境のなかで生活しているので、トラブルに巻き込まれる可能性は捨てきれません。私の自宅だけでなく、独身寮や社宅には日本人の同僚が住んでいて、毎日顔を合わせる環境になっています。もし様子が変だったり、トラブルが起きたりするようなことがあればすぐに気づくので、身近な環境で暮らすことがリスク管理につながっていると思います。

気づけば社宅の庭で畑を耕し野菜作りをしていた

どのようにコミュニケーションを取っていますか?

 まだ入社したばかりで、日本語が上達していない外国人とはジェスチャーを交えて話しています。でも、生活や仕事について細かい話を聞くとなると、なかなかこちらが言いたいことが伝わらないこともあります。そんな時は、その場で通訳に電話をかけ、スピーカーを通して訳してもらっています。

生活面で気をつけていることはありますか?

 まずはゴミの出し方ですね。彼らは分別するような習慣がまったくないので、一から説明するようにしています。また、自転車も道路に平気で置いてしまうことがあるなど、細かいところを見てあげる必要があります。あと驚いたのは、気づいたら社宅の庭で野菜を作ったり、海で釣ってきた魚をさばいたりしていたこと。思わず「すごいねえ!」と、一緒になって感心してしまいました。ベトナム人たちは食に対して貪欲なところがあるので、トラブルの元にならない範囲で留めるように気をつけて見ています。

食習慣もまったく違うようですね

 彼らはナンプラーを好んで使うのですが、匂いが独特で、これもトラブルの原因になり得ます。基本的に寮では自炊なので、他の日本人とは違うキッチンを用意しました。換気を頻繁にするなど配慮はしてもらっていますが、彼らの食文化を大切にしてあげたいと考えています。なかには料理が得意な人もいて、以前に揚げ春巻きを作ってくれたことがありました。これが熱々でとても美味しかったのを覚えています。

外国人と一括りにせず一人ひとりと正面から付き合う

そのほかに文化や慣習の違いを感じたことはありますか?

 タトゥーに対する考え方がまるで違いますね。ベトナムの若い人の半数はタトゥーを入れていると聞いたことがあります。彼らにとってはファッション感覚なのだと思います。ですが、日本ではタトゥーにあまりいいイメージを持たれていないので、面接時に確認するようにはしています。

彼らとの生活について他社にアドバイスがあればお願いします

 外国人と一括りに見るのは間違いで、特に若い人たちは日本人の若者とほとんど変わりません。寮に友達をよんだり、大声を出したりと問題も起こしますが、それは外国人だからではなく、その人の性格によるものでしょう。一人ひとり個性も違うので、人間同士の付き合いとして、ルールやマナーを教えてあげてほしいと思います。

武田建設株式会社

(2021年12月21日取材)

掲載号

Visionista/VOL.012022|autumn

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