柏倉建設株式会社
鈴木 直樹氏

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時には彼らの味方となり、
大切に育てていくのが私の役割

2022.09.01

#VOL.01 #受入事例 ベトナム北海道
柏倉建設株式会社 鈴木 直樹 氏

部長(労務安全部・資材センター)
鈴木 直樹

鈴木さんは現場や寮生活において、技能実習生や特定技能外国人の教育やケアを担当しています。仕事面でどのような指導やサポートをしているのか、詳しく伺いました。

持ち前の真面目さや人懐っこさに社員たちもすぐに受け入れた

導入当初、外国人の印象はいかがでしたか?

 社長から、ベトナム人の技能実習生を受け入れることにしたという話を最初に聞いた時は、不安しかありませんでした。正直に言えば「手間がかかることは嫌だな」と思ったのはたしかです。しかし、いざ受け入れてみると、ある程度のことは身振り手振りで通じるし、親日国ということもあって、とても友好的な彼らに対して、ネガティブなイメージはすぐに払拭されました。

働きぶりはどうでしたか?

 実際に一緒に働いてみると、とても真面目だし、人懐っこさもあって、すぐに順応していきました。当社では一人ではなく二、三人でチームになって仕事をするのですが、当初、私と同じように外国人の受入れに戸惑っていた社員たちも、今では好んで彼らと組みたいという声が少なくありません。

研修では日本語に長けた社内の特定技能外国人を通訳に

一緒に働くうえで注意していたことはありますか?

 受入れ前にベトナムの文化や習慣を調べておきました。習慣の違いなどを理解しておくことは非常に大切です。例えば、当社で働くベトナム人※にとって他人の頭を触ることは絶対にタブーです。「頭は聖なる霊が宿る場所」であり、どんな理由があっても触ることを良しとしません。ただ、そうした情報は事前に社内で共有しておけば問題ないと思います。
※一部地域のベトナム人

社内教育などで工夫していることはありますか?

 送り出し教育や現場での安全ルールについて説明を行う時は、市販されているベトナム語のテロップが入った専用DVDなどを活用しています。また、基本的には通訳の方を呼んで実施しているのですが、時にはベトナム語に訳すことが難しい建設業独自の専門用語などが出てきます。そうした時のために、日本語に長けている特定技能外国人の社員を呼んでおいて、通訳の代わりをしてもらい、よりわかりやすいように理解を促しています。

資格取得などは行っていますか?

 自社で特別教育を行っています。種類は、丸のこ等取扱作業従事者安全教育、酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育、足場の組立て等特別教育、フルハーネス型墜落制止用器具特別教育、それと自由研削といしの取替え等業務特別教育の5つです。外部で受講させる選択肢もあるのですが、残念ながら通訳をつけているところは少ないのが現状です。実際に行かせたこともあるのですが、ほとんどが理解できていない状態で帰ってきました。自社でもう一度勉強し直した経験もあって、自社で実施するようになりました。

時には社長と従業員の間に立ち彼らの味方になることも必要

安全対策を伝える工夫などはしていますか?

 彼ら外国人だけでなく、日本人に向けたものでもあるのですが、万が一、現場で事故やケガが発生した場合、その状況や患部を写真におさめて寮の壁に貼り出し、全社員と共有するようにしています。言葉や文字だけだとイメージがつかず、どこか他人事になってしまい、抑止につながりません。実際の様子を目で見てみんなで共有することで、同じ失敗を繰り返さないように注意を呼びかけています。

トラブルを起こした時にはどのように対応していますか?

 全社員に言えることですが、私は社長と従業員の間に立つ緩衝材のポジションだと日々思って働いています。彼ら外国人がトラブルを起こした時でも、しっかりと注意し、本人が反省して心を入れ替えるようなら、味方になってあげるべきです。厳しさも大事ですが、同じ会社に属する人間として、大切に育てる視点も必要だと考えています。

柏倉建設株式会社

(2021年10月29日取材)

掲載号

Visionista/VOL.012022|autumn

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