株式会社岩手マイタックは、2021年に東北国際教育センター「Ciet」(以下、シエット)を開設し、来日した外国人に対して日本語教育や技能の習得をサポートしています。少人数制で講師が生徒一人ひとりと向き合える環境を整備。現場で必要な知識・技術に特化した教育施設になっています。
INTERVIEW
センター長紹介
センター長
玉腰 辰己 氏
ともに働く技能実習生に
ベストの環境で学んでほしかった
岩手マイタックではこれまでフィリピン人の技能実習生を80人ほど受け入れてきました。しかし、中には十分に日本語教育を受けていない人もいて、結局は自社で再教育することもありました。技能実習生は入国後に176時間の日本語講習を受けますが、あまりよい環境とは言えない中で教育を受けたのでしょう。それなら、私たちが彼らにとってベストな教育施設をつくろうと考えたのが設立のきっかけです。
建設業に特化した
現場で使える日本語を教える
一般的に日本の研修センターでは、食品工場で働く人や製造業で働く人など、業種に関わらず技能実習生が一緒になって教育を受けています。そこでは、日常で使う日本語しか教えません。でも、建設会社としては、本当に覚えてもらいたいのは仕事に必要な言葉です。そこで、シエットでは独自の教科書を用意し、現場で使える言葉に特化して教えています。
試験対策や健康づくりなど
行き届いた教育を提供したい
実習生は入国して8カ月後に「2号移行試験」を受検しますが、シエットではその試験対策もしています。職種ごとに試験内容が違うので、そのポイントを伝え、勉強の仕方まで伝えます。また、仕事の知識だけでなく、長寿国である日本の食についても教えていて、健康づくりに役立ててもらっています。シエットは卒業後の生活も見越した教育を目指しているのです。
INTERVIEW
講師紹介
株式会社岩手マイタック 安全室室長
佐々木 洋一 氏
安全管理を担当するからこそ
実習生に伝えられることがある
特別教育で実技や座学の講師を担当しています。私は岩手マイタックで会社全体の安全を管理する立場にあり、日々現場をパトロールしています。そうしたことから、特に現場における安全教育については力を入れています。
「乗ることができる」と
「安全に操縦する」の違いを
理解させる
実習生の中には母国で重機を操縦していた経験を持つ方もいます。ですが、やはり海外と日本では安全に対する意識の高さが違います。「乗ることができる」ことと「安全に操縦する」ことの違いをしっかりと伝えるのが私の役割だと思っています。
INTERVIEW
講師紹介
株式会社岩手マイタック インストラクター兼 通訳
アギラル・ダルヴィン 氏
来日して30年の経験を
教育の場で活かしたい
技能講習と特別教育の通訳をしています。私はフィリピン出身で、日本へ来て30年になります。重機のオペレーターだけでなく、かつては大工として働いたこともあり、これまでの経験を教育の場で活かしたいと思っています。
彼らを無事に帰国させる
それが私に課せられた使命
私も日本語がわからない中、この国で働き始めました。だからこそ、実習生の気持ちがとてもよくわかるんです。そして、建設業の専門用語を知らずに現場に出る危険性も私が一番理解しています。彼らを無事に帰国させること、それが私の使命です。
Trainee`s VOICE
卒業生の声
マーロンさん
(フィリピン)
技術が進んだ日本で学びたかった
フィリピン人の知り合いから「日本はテクノロジーが進んでいて、街がとてもきれい。何より人が礼儀正しくてやさしい」と聞いて、そんな場所で学びたいと思い、日本へやってきました。実際に日本で働いてみると、知り合いの言う通りでした。
ジェフリーさん
(フィリピン)
ハイテクな機械に驚き
フィリピンではエクスカベーターやブルドーザーといった建設機械を使って作業する仕事をしていました。その経験から、シエットではオペレーターとしての技術を学んだのですが、日本の建設機械はハイテクなものばかりで驚きました。
ボイエトさん
(フィリピン)
不慣れな生活のサポートに感謝
シエットに入居した時にまず感じたのが、部屋や食堂、トイレなどすべてが清潔だということ。おかげで快適に過ごせました。また、講師や日本人スタッフも私のことをよく理解してくれて、不慣れな日本での生活をサポートしてくれたことには感謝しています。
ジョマルさん
(フィリピン)
工場勤務から日本の建設業へ
フィリピンでは製造業の仕事をしていて、工場で勤務していました。ある時、技能実習制度のことを知り、どうしても日本で建設の仕事をしてみたくなって、応募したのが来日のきっかけです。採用された時は本当にうれしかったですね。
FACILITY
施設紹介
総面積13万平米の広大な敷地を有し、重機を使っての訓練も敷地内で実施。
基本的に食事は日本食を提供し、健康的な食生活についての知識も教える。
朝は7時から8時まで、夕方17時半から19時まで自由に入浴可能。
2023年5月 取材