一般社団法人 利根沼田テクノアカデミーでは、廃校になった小学校を活用し、建設業の担い手確保を目的に人材育成を行っています。板金、瓦、大工、設備、左官とさまざまなコースを用意。各団体が連携し、専門工事業種の技能や知識、また安全管理を現場に出る前に身につけることができます。今回は技能実習生向けのコースを取材しました。
INTERVIEW
講師紹介
講師の渡邉さんに、外国人に指導する際の工夫や
心掛けていることについて伺いました。
講師(設備)
渡邉 清勝 氏
教え方はいたってシンプル
専門用語を使わず
「やってみせて、やらせてみる」
利根沼田テクノアカデミーへ学びに来るほとんどの生徒が、建設業未経験者です。たとえ同じ日本人でも、専門用語や道具の名称はわかっていません。その点は外国人と同じなのです。外国人だからと特別扱いせずに、基本的な教え方は「やってみせて、やらせてみる」。言葉も「押す」「引く」「回す」と単語で説明していくうちに、徐々に意味を理解してくれます。
事故につながる行為には
大きな声で「危険」だと強く伝える
来日したばかりの外国人を教える中で、事故につながる行動や間違いについては、強く伝えることが非常に重要だと思っています。なぜなら、言葉が通じないのに「気をつけてね」とやさしく言っても危険度が伝わらないだけでなく、反対に「自分はいいことをしているんだ」と、勘違いさせてしまうこともあります。悪いことは悪いと、しっかり明確に大きな声で表現してあげることが大切です。
訓練の場所でしっかりと経験させる
それこそが安全対策
実際に会社で働き始めたら、やさしい先輩もいれば厳しい先輩もいます。また、ひとたび現場に出れば、他の業者の方とも、同じ環境で作業をすることにもなります。集団の中で仕事をし、生活するからこそ、想定される危険な状況や、注意の表現なども教えておきたい。それが私にできる安全対策です。
Trainee`s VOICE
訓練生の声
ハウさん
(ベトナム)
夢はベトナムで起業すること
日本の建設の技術を勉強して、ベトナムで起業したいと思って来日しました。ベトナムでは建設会社に就職しても、研修を受ける機会はほとんどありません。日本の建設業はベトナムに比べて、安全面や教育面がしっかりしているとあらためて思いました。
世界でも技術力が高い日本で多くのことを学びたい!
親戚が日本の建設会社で働いた経験があり、日本人がやさしくて親切であることは聞いていました。何より仕事が安定していて、多くの作業を任せてもらえるとも話していました。世界的に見ても日本の技術力が高いのは間違いありません。帰国までに多くのことを吸収したいです。
ゾウさん
(ミャンマー)
母国の家族の生活を支えたい
来日のきっかけは、日本でたくさん稼いで、ミャンマーにいる家族の生計を少しでも援助したいと思ったからです。日本の技術力の高さはミャンマーでも有名で、例えば車やカメラなど、日本製の商品は人気があります。そんな日本で働けるのが楽しみです。
「日本の技術を世界へ広める」社長の夢に共感
私が就職した受入企業は、ミャンマーにも建設会社を設立しています。面接で社長から「帰国したらミャンマーの会社で働いてほしい、一緒に日本の技術を世界へ広めよう」と誘われたのがとてもうれしかった。研修は大変と感じることもありますが、講師や先輩が励ましてくれるので最後までがんばります。
FACILITY
施設紹介
屋外実習場では、職人の基本であるビス打ちの精度を高める訓練を行う。
グラウンドには、外部配管・内部配管などを行える模擬住宅が建てられている。
高所で安全かつスピーディーに歩行するため、実際の鉄骨などを渡り訓練する。
体育館の中には建屋なども設置されており、雨天でも問題なく訓練が行える。
集団生活になるため、部屋には仕切りをおいて個室スペースを設けている。
かつての教室だったところを改装し、訓練生が利用できる食堂を設置。
2022年7月 取材 協力:株式会社菅原設備