外国人という“壁”を越えて
安心できる環境をつくりたい
営業管理部 防災・技術・広報課
主任
陳 莉婷 氏
台湾出身の陳さんは、外国人材の生活や仕事を支える役割を担っています。通訳や手続きのほか、会社との間に入って調整することも。日本での言葉や文化の壁に悩んだ自身の経験を活かし、外国人材が安心して働ける環境づくりに力を注いでいます。
方言に戸惑う現場の声に寄り添う
世話役として具体的にどのようなサポートをしていますか?
現在、受け入れているミャンマーや中国の方々の生活のサポートをしています。また、英語、日本語、台湾語、中国語が話せるので通訳もしていて、ビザの更新や技能講習の手続きなども手伝っています。仕事の相談相手になることもあって、「あの現場が苦手で…」といった悩みに対して、会社との間に入って調整したこともありました。
陳さんは台湾出身ですが、外国人が日本で働くうえで特に苦労することはなんですか?
人によってさまざまだと思いますが、一つあげるなら方言ですね。最初は私もかなり苦労しました。高知県民は土佐弁を話す人が多く、言葉がほとんど理解できなかったのを覚えています。実際に今でも、受け入れた人たちから「勉強した日本語が全然使えない」という声を聞きます。
伝わらない言葉の裏に、伝えたい気持ちがある
相談事で多いのはどんなことですか?
意外と多いのが「大声」による勘違いです。たとえば、まだ日本語がうまく理解できない時期に現場で作業をしていて、気をつけないといけない場面があったとします。その時に「あぶない!」「気をつけろ!」と、職長たちが安全確保のために大声をあげることがあります。でも、外国人たちはなぜ大声を出されたのかわかりません。「何もしていないのに怒られた」と思ってしまうのです。
日本人からすると、危険だから注意したわけですよね?
そうです。危ない場所に立ち入ってしまったら、服や手を引っ張ることだってあり得ます。しかし、彼らはそれを「暴力を振るわれた」と勘違いすることだってあるのです。そうした時は、誤解を解くために私が間に入って、本人同士に話し合ってもらいます。そこで誤解を解くことで、後腐れなくまた一緒に働けるというわけです。
コミュニケーションで気をつけていることはありますか?
文化による性格の違いでしょうか。当社で働いているミャンマー人を見ていると、とにかく我慢強い。悩み事があっても、口に出さないことが多くあります。私から声をかけてみると、実は仕事でつらいことがあって、「泣いてしまいました」と打ち明けてくれたこともありました。だからこそ、できるだけ距離を近くして、相談しやすい環境をつくることを心がけています。
“外国人だから”の壁を越えていくために
日本ならではの“働きづらさ”はありますか?
あります。私は日本へは留学で来たのですが、最初は日本人に対して壁を感じていました。なぜなら、相手が外国人だとわかると距離を置く日本人が少なくないからです。職場だと、その距離感が時に仕事の厳しさに感じます。認められるには日本人の倍くらいがんばらないといけないと思いました。
その“壁”はどのように乗り越えたのですか?
とにかくコミュニケーションをとりました。一人で黙って仕事をしているのではなく、わからないことは質問する、自分から積極的に会話に入るなどして、距離を縮める努力をしました。やはり会話は大事です。当社の職長たちも現場が休みの日には中国人やミャンマー人を遊びに連れて行くなど、本当に仲良くやっています。その付き合いがあるからこそ、仕事も日本語も上達するのだと思っています。
(2024年6月22日取材)
